会長声明

東日本大震災から10年を経過して【会長声明】 ~被災者とともに~

平成23年3月11日の東日本大震災から10年が経ちました。今年は節目の10年ということでマスコミでも大々的に震災特集を行っております。津波の映像を見るとどうしても様々なことを思い出し胸が締め付けられる思いです。
この10年で災害公営住宅、高台への集団移転、インフラなどの整備は確実に進み街並みも一新しました。宮城県では応急仮設住宅(プレハブ住宅)で生活されている方が0名になりましたが、応急仮設住宅(民間賃貸借上住宅)の入居者は13名(令和2年12月31日現在)、県外避難者は98名(令和3年2月11日現在)もおり、まだ全員が安心した生活を取り戻してはおりません。

災害公営住宅での孤独死や震災関連自死の問題も報じられており、生活・心の再建という部分での復興は10年たってもまだ終わっておりません。また、災害援護資金の返済が始まり、このコロナ禍でなおさら生活が苦しい中、返済をしなければならない被災者の方々の悲痛な相談が寄せられており、被災された方々の生活再建を阻む新たな問題となっております。

宮城県司法書士会では、今年度も県内6カ所の相談センターで市民の皆様の様々な相談にお応えしてきました。コロナの影響により一部面接相談を中止せざるを得ない時期もありましたが、復興事業とも切り離せない被災地の不動産登記はもとより、会社の登記、生活上の身近な困りごと、福祉関係者と連携しての心の相談等、県民の皆様の様々なご相談を年間5000件以上受けてまいりました。

昨年8月に施行された改正司法書士法には、近時の司法書士制度を取り巻く状況の変化を踏まえ,司法書士について専門職者としての使命を明らかにする規定が設けられました。
今後も、当会ではこの使命を果たすためにも、相談活動を通して、また司法書士という職能を活かして、震災に遭われた皆様の、最後のお一人が復興を成し遂げられるまで、県民の皆様に寄り添い、ともに復興に尽力していく決意をここに表明する次第です。

令和3年3月11日

宮城県司法書士会
会長 車 塚  潤